佐藤周『へんたい』

●自作上映に参加して
いつもはある程度ジャンルや雰囲気が似た作品との併映が多いのですが、今回のように全く違った空気の作品との併映は初めてでした。自分の作品がジャンルに甘えられない環境での上映は緊張したし、面白みもあり、いい経験になりました。

●他の監督の作品を見て
僕は特別上映の『コラボ・モンスターズ』とGプログラムの『乱心』しかまだ観れていないのですが、どちらも映画を制作するということに対して色々考えさせられました。
『コラボ・モンスターズ』内の高橋洋監督作『旧支配者のキャロル』は撮影現場の息苦しさ、そこから生まれる感動や絶望など「映画を作るってこういうことなんだよな…」と痛感しました。
『乱心』は16mmフィルムで撮影されていて、フィルムにあまり関わりのない僕とはきっと全然違うスタンスで作られていったんだろうなと思います。それはフィルムというフォーマットだけではなくて、丁寧な画作りや演出に対する冨永監督の真摯な姿勢を感じて思ったことです。
この二作品は僕が普段あまり考えない「映画を作る」という、根本的なことではあるけれども、今誰でも映画を簡単に作れてしまう時代だからこそ、作り手一人一人が改めて考えなくてはならないことをしっかりと見据えた上で制作されているのだと思います。

text by 佐藤周