『へんたい』『FRIEND IS THE DEAD』佐藤周

text: 佐藤周

『FRIEND IS THE DEAD』は僕が3年ほど前に大学の課題で制作したゾンビ映画です。元々好きだったゾンビ映画で青春ドラマを描きたいと思い、太宰治の『走れメロス』を下敷きにした脚本を執筆しました。撮影現場では残酷描写の特殊効果が初めてだったことや、ゾンビを演じる大勢のエキストラへの指導、特殊メイクに時間がかかったりと、大変なことばかりでしたがいい経験になったと思っています。真夏の撮影だったため汗で特殊メイクが落ちていって、最終的にはゾンビではなくただの顔色が悪い人になっているエキストラもいました。(笑)

ちなみに僕はこの作品で初めて自分の作品が外部の映画祭で上映される経験をしました。それが学生残酷映画祭だったのですが、僕が参加した年に内藤瑛亮監督が『牛乳王子』を出品してグランプリを受賞されて、衝撃と嫉妬心でその後の映画制作へのモチベーションが高まりました。そう考えるとこの『FRIEND
IS THE DEAD』は自分にとって非常に重要な作品なんだなとつくづく感じます。

『へんたい』は昨年12月の第三回学生残酷映画祭でグランプリと観客賞をいただいた僕の新作短編です。
観客を作品世界に没入させる魅力的な映画を作りたくて色々と試行錯誤した結果、こんな変な物語が生まれました。(笑)
ロバート・ロドリゲス監督の『フロム・ダスク・ティル・ドーン』が大好きで、あんな感じに観客の予想を大胆に裏切りつつ爽快な気分を味わえるという不思議な感覚をもたらす映画を自分もやってみたかったんです。あまり説明するとネタバレになるのでこれ以上は言えませんが、とにかく観ていただければきっと驚くはずです。

また、今回マンションの一室が主な舞台となっていますが、実はこの部屋はRプログラムの『恋するクソ野郎』を監督した谷口恒平君の部屋なんです。血糊を飛ばして壁を汚したり、叫んだり暴れたりして隣の部屋からドンドンと壁を叩かれたり…谷口君にはとても迷惑をかけました。(笑)
学生残酷映画祭やTRASH-UPLINK!!で上映させていただいた際に観客の方々の興奮した姿を観て、苦労して作った甲斐があったなぁと思いました。今後も観客を興奮させるエンターテインメント作品を作っていきたいと思います。